論文掲載について

お酢中の新規機能性成分フレグライド-1の定量

【Journal of Oleo Science】 ■掲載ページ  adobe論文掲載

Quantification of Fraglide-1, a New Functional Ingredient, in Vinegars
お酢中の新規機能性成分フレグライド-1の定量

細胞内に存在するペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARγ)のアゴニスト(生体内の受容体分子に働いて
神経伝達物質やホルモンなどと同様の機能を示す作動薬のこと)機能などを有し、体脂肪蓄積やインスリン抵抗性
改善などの機能が期待できるフレグライド-1(5-hydroxy-4-phenyl-2(5H)furanone, 5-hydroxy-4-phenyl-
2(5H)butenolide)は、辻野により香醋(中国の伝統的なお酢)から発見された。そこで本研究では、各種
お酢中に含まれるフレグライド-1含有量、さらにフレグライド-1の由来に関して精査を行った。

フレグライド-1の定量は、高速液体クロマトグラフ−三連四重極型質量分析計(LC-MS/MS) を用い、標準物質より
多重反応モニタリング(MRM)を作成し、検量線を作成の上実施した。その結果フレグライド-1は、香醋および
黒酢に定量限界以上含まれていることが判明した。ただし、香醋中のフレグライド-1含有量と熟成期間との相関は
認められなかった。一方、他のお酢にフレグライド-1はほとんど含まれておらず、定量限界以下であった。

フレグライド-1の起源を探るため、香醋の製造原材料中に含まれるフレグライド-1の量を測定した結果、発酵工程
で使用される「もみ殻」中でフレグライド-1が検出された。このことより、香醋中のフレグライド-1は、製造工程
においてもみ殻から移行したものと考えられ、香醋のフレグライド-1はもみ殻由来と考察した。

酸化ストレスに対する細胞防御経路の活性化「抗酸化」効果に期待

Food and Chemical Toxicology】 ■掲載ページ
Antioxidant properties of 5-hydroxy-4-phenyl-butenolide via activation of Nrf2/ARE signaling pathway
5-ヒドロキシ-4-フェニル-ブテノライド(フレグライド1)はNrf2/AREシグナル経路を活性化することで抗酸化活性を示す

 以前私達は5-ヒドロキシ-4-フェニル-ブテノライド(5H4PB; フレグライド1)が、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPARγ)を活性化することを報告しましたが、 PPARγ以外の細胞内シグナル経路に対する5H4PBの効果は明らかにされていませんでした。
 本研究では、生物発光レポーターを用いたリアルタイムセルベースアッセイにより、5H4PB(フレグライド1)が酸化ストレス耐性において重要な役割を果たす、Nrf2/AREシグナル経路を顕著に活性化することを見出しました。 Nrf2/AREシグナル経路に制御されている抗酸化遺伝子群の発現を追跡したところ、 5H4PB(フレグライド1)により、ヘムオキシゲナーゼ-1、カタラーゼおよびスーパーオキシドジスムターゼ遺伝子の発現が顕著に促進されました。また、これら抗酸化遺伝子群の発現により、過酸化水素によって誘導される酸化ストレス(活性酸素種の生成、グルタチオン酸化、酸化的DNA損傷)が大幅に軽減されることが明らかになりました。さらに、 5H4PB(フレグライド1)を予めマウス繊維芽細胞やマウス初代肝細胞に処理することで、過酸化水素によって誘発される細胞死を顕著に抑制することも明らかにしました。以上の結果より、 5H4PB(フレグライド1) は、Nrf2/AREシグナル経路を活性化することにより抗酸化遺伝子群の発現を誘導し、細胞に酸化ストレスに対する保護効果を付与することを明らかとしました。

抗酸化ストレス耐性に重要な役割

・抗酸化とは:体の中の機能がさび付くと正常な働きが出来なくなり、糖尿病、高脂血症、肝臓の機能の低下などなどの生活習慣病といわれる問題が起きてきます。体の中を錆付かせないようにするのが「抗酸化作用」(酸化を抑える作用)と言えます。つまり、活性酸素を取り除き、生活習慣病を予防や老化を抑えることです。 動脈硬化や、ガンなど生活習慣病、白髪やしみ、しわなど老化の原因で、肝臓にもっともたまりやすいといわれています。年齢とともに発生量が増えることもわかっています。 また、多量飲酒、ストレス、食品添加物、タバコ、激しい運動、紫外線なども活性酸素を増やす原因となっています。(日本抗酸化学会HPより参照)

肥満と生活習慣病改善効果に期待

Journal of Oleo Science】 ■掲載ページ adobe論文掲載
A New Agonist for Peroxisome Proliferationactivated Receptor γ (PPARγ), Fraglide-1 from Zhenjiang Fragrant Vinegar: Screening and Characterization Based on Cell Culture Experiments
ペルオキシソーム増殖活性化受容体γ(PPARγ)の新しい作動薬、
鎮江香醋由来のフレグライド-1: 細胞培養実験に基づく選定および特性評価

鎮江香醋は、漢方薬として使われており、抗肥満効果をはじめとする様々な健康上の利点を持っている黒米酢です。本研究では、8年熟成香醋から新規物質である5-ヒドロキシ-4-フェニル-ブテノライドを抽出しました。新たに発見されたこの活性化物質は、「フレグライド1」と命名され、その後の実験において、PPARγの活性物質であり、脱共役タンパク質(UCP)-1の発現レベルを増加させることができることが確認されました (図1)。さらに、化学的に合成したフレグライド1が、PPARγの発現を濃度に伴い増加することも確認されました(図2)。香醋は何千年もの間、機能性食品として世界的に消費されてきましたが、健康影響のメカニズムは特徴付けられていませんでした。しかし、香醋の有効成分が首尾よく見つかったことで、香醋の有益な健康効果に関する長年の謎が解明されました。

図1 図2

・UCP-1とは:「褐色脂肪細胞」には、脂肪を燃焼させる“工場”の役割をする「ミトコンドリア」が数多く
存在しています。その“工場”を動かすのがUCP-1というタンパク質。フレグライド1はUCP-1遺伝子の発現量を
増やすので、脂肪をより効率よく燃やすことが期待できます。

・PPRAγとは:細胞核内に存在するタンパク質で脂肪組織に多く存在しています。活性化によってインスリンの
抵抗性の改善を促すので、肥大化した脂肪細胞を減少させ、小型の脂肪細胞の増加を誘導します。



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