学会について

日本農芸化学会 2015年度大会(3月28日/岡山)にて発表

講演日時、会場:3月28日09:33〜 F校舎37会場
香醋由来の糖・脂質代謝改善成分の単離・同定
【目的】近年、過剰な摂取カロリーや運動不足などにより、肥満が大きな健康問題となっている。肥満は糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病の主因となる。生活習慣病に対する薬剤は種々開発されているが、予防医学の観点からは発症前に肥満を改善することが重要である。香醋は、中国で古来より用いられた食酢の一種で、健康維持に関する様々な有効性が唆示されてきた。特に、中国鎮江で生産される香醋は、他の食酢とは異なる製法で、長期発酵させるなど特殊な工程が多い。そこで本研究では、香醋の糖・脂質代謝異常に対する有効性を検証し、その活性物質の単離・同定を試みた。

【方法】糖・脂質代謝制御においては、リガンド要求性核内転写因子であるPPARs(peroxisome proliferator-activated receptors)が重要な役割を担っている。なかでも、PPARγは脂肪組織に多く発現し、その活性化によって脂肪細胞の分化が促進され、インスリン感受性の高い脂肪細胞の割合を増加させることができる。従って、PPARγの活性化はインスリン抵抗性および糖・脂質代謝異常の予防・改善に有用であると考えられる。そこで、PPARγの活性化を指標とした細胞評価系(リガンドアッセイ)によって香醋の有効性を検証するとともに、その活性物質を探索した。

【結果】鎮江の香醋から調製された多数の分画物について体系的なリガンドアッセイを行った結果、
PPARγに対するリガンド活性を示す活性画分が得られた。この活性画分の主要成分を単離し、質量分析及びNMR分析による構造解析を行った。その結果、この活性物質は5-hydroxy-4-phenylbutenolide(5H4PB;FRAGLIDE I)と同定された。そこで、化学合成した5H4PBを用いて、脂質代謝に及ぼす影響を検証した。その結果、合成5H4PBにおいてもPPARγに対するリガンド活性が確かめられた。また、香醋由来の活性物質である5H4PBはインスリン抵抗性および糖・脂質代謝異常の予防・改善に有効である可能性が見出された。
本研究により、この有効成分を活用した香醋由来の新たな肥満改善食品の創出が期待される。

Zhenjiang Vinegar extract, metabolic disorder, obesity


adobe日本農芸化学会2015年度大会(岡山大学)発表要旨(273KB)

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